独学の限界は、意外と早く来る
サーキット走行はひとりでも上達できます。ただし、ある段階で必ず「自分の何が悪いのか分からない」という壁に当たります。タイムが伸びない、けれどどこを直せばいいのか見当がつかない。この状態でひたすら周回しても、悪い癖を固めるだけになりがちです。
その壁を一気に越えられるのが同乗です。走行会でプロドライバーに同乗してもらえる機会があるなら、使わない手はありません。10分の同乗が、ひとりで何日も悩む時間に匹敵することは珍しくないからです。
同乗には2つの形がある
- ① 自分が運転して、隣で見てもらう
- 自分の癖を指摘してもらうための同乗です。ブレーキが早すぎる、ハンドルを切りすぎている、目線が近い——自分では気づけないことを、その場で言葉にしてもらえます。改善点を知りたいならこちらです。
- ② プロが運転して、自分が助手席に乗る
- 正解を体感するための同乗です。同じクルマで、同じコースで、これほど速く走れるのかと驚くはずです。「どこまで踏めるのか」「どこで止まれるのか」という限界の感覚は、言葉で聞くより一度体験するほうが早い。自分の愛車で見せてもらえるのが走行会の同乗指導の大きな価値です。
可能なら両方お願いするのが理想です。見本を体感してから自分で走り、それを見てもらう。この順番が最も身につきます。
乗ってもらう前の準備
- 助手席を空けておく:荷物が載ったままでは乗ってもらえません。シートベルトが正常に使えることも確認を。
- クルマの状態を伝える:「ブレーキパッドは純正です」「タイヤは○○を履いています」「足回りはノーマルです」。クルマの限界が分かれば、それに合ったアドバイスがもらえます。
- 質問を1つ決めておく:これが一番大事です。漠然と「速くなりたい」ではなく、具体的なひとつを用意してください。
質問の例:
- 「3コーナーで毎回膨らむんですが、原因は何でしょうか」
- 「ブレーキをどこまで奥にできますか」
- 「立ち上がりでアクセルを踏むタイミングが分かりません」
- 「この車、まだ余裕がありますか。それとも限界ですか」
具体的に聞くほど、具体的な答えが返ってきます。
助手席で見るべきポイント
プロが運転する助手席は情報の宝庫ですが、漫然と乗っていると「速かった」で終わってしまいます。次の3点に絞って観察してください。
- ① 音を聴く
- エンジン音とタイヤの音。どこでアクセルを開け、どこで抜いているかが耳で分かります。自分の走りより「開けるのが早い」「抜くのが遅い」といった違いが、音の変化としてはっきり出ます。
- ② ブレーキの踏み方を見る
- 可能なら足元をちらっと見てください。踏み始めの鋭さと、そこから抜いていく滑らかさ。多くの人が驚くのは「思ったより手前から踏んで、思ったより長く抜き続けている」ことです。
- ③ ハンドルの操作量
- 上手い人ほどハンドルは静かです。切り足しや修正がほとんどなく、1回で決まっている。自分がいかに余計に動かしていたかが分かります。
逆に、速度計は見なくて構いません。数字を追うより、体にかかるGと音を覚えるほうが役に立ちます。
教わったことを「持ち帰る」
同乗のあと、そのまま次のヒートに出ると、たいてい何も変わりません。感動は残っても、具体的な行動に変換できていないからです。降りたらすぐ、次の3つをやってください。
- 言われたことを1つだけメモする:複数を同時に直そうとすると、どれも中途半端になります。今日は「目線を先に送る」だけ、と決める。
- 次の走行のテーマにする:そのヒートは、タイムを見ないでテーマだけを実行します。
- できたかどうかを自分で採点する:「3周目まではできたが、疲れたら戻った」など。これが次の課題になります。
記録の残し方は走行会のあとのメンテナンスガイドにもまとめています。
遠慮しなくて大丈夫です
「初心者だから申し訳ない」と遠慮してしまう方がいますが、初心者こそ効果が大きいのが同乗指導です。基礎の癖は早く直すほど楽ですし、変な癖が固まってからでは修正に何倍も時間がかかります。
また、プロドライバーは「速い人だけを相手にしたい」わけではありません。上達していく過程を見るのが面白いから教えているので、遠慮せず声をかけてください。分からないことを分からないと言えるのは、上達する人の条件のひとつです。
雨坊主走の同乗指導について
雨坊主走では、現役ドライバーによる同乗走行の機会を設けています(内容は開催回により変わります)。当日の案内やドライバーズミーティングでお知らせしますので、希望される方は受付やスタッフにお声がけください。
なお、同乗する場合は同乗者も運転手と同様の装備(ヘルメット・グローブ・長袖長ズボン)が必要です。詳しくは参加規約をご確認ください。
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